御殿場市「富士山木のおもちゃ美術館」:ヒアリング&ボラティア学芸員養成講座(7月17日/9月6日-7日)

地域の共有資源としての森林の保全と持続可能な利用(ワーク5)

静岡県内でSDGs未来都市宣言を発出している自治体の1つである御殿場市は、木育推進を市の基本施策として掲げ、来夏にはその中核的な場となる「富士山木のおもちゃ美術館」が開館することとなっています。
 ワーク5の有志グループは、御殿場市の木育推進の政策や木のおもちゃ美術館構想などについて、7月に御殿場市役所にてヒアリングを行いました。また、9月には学生2名木のおもちゃ美術館のボランティア学芸員の養成講座を受講しました。

7月17日(木)午後 御殿場市役所でのヒアリング
 ヒアリングには木育など環境教育に関心を持つ学生とアートを通した環境問題の啓発に関心を持つ学生2名が参加、木のおもちゃ美術館開館に向けて準備を進めているおもちゃ美術館準備室の職員の方にお話を伺いました。
 ヒアリングでは、御殿場市が広大な森林資源を有しながら、林業従事者の減少などにより、木材としての活用が十分になされていないことから、これらの材を「御殿場っ木(ごてんばっこ)」としてブランド化することで、地域の資源として保全と活用のサイクルを作っていこうとしていること、そのために企画課・市民課・未来プロジェクト課など市役所の多様な部署が横断的な連携を組み、「木育」を推進していること、さらに「木育」の取組みは行政が中心となって推進しているが、地元の市民や企業との連携の輪も広がっており、木のおもちゃ美術館を核としたまちづくり、関係人口の拡大をめざした取組みが始まっていることなどが説明されました。
その後、学生からの質問を受けて、意見交換やディスカッションなどで盛り上がり、ヒアリングは予定の時間を大幅に超える2時間近くに及び、学生たちは今後の自分自身の課題に向けて多くの示唆を得ることができた時間となりました。

9月6日(土)・7日(日) 「富士山木のおもちゃ美術館」のおもちゃ学芸員養成講座
 「富士山木のおもちゃ美術館」が建設中の御殿場市・樹空の森の施設において行われた「おもちゃ学芸員養成講座」に2名の学生が参加させていただき、御殿場市内外から集まった市民のみなさんや御殿場市未来プロジェクト課の職員のみなさんとともに2日間みっちりと学ばせていただきました。

 プログラムの主たる講師は、東京のおもちゃ美術館の運営、系列の全国各地のおもちゃ美術館の企画・監修をやってこられ、富士山木のおもちゃ美術館の監修をされているリーダー・サブリーダーの方。
 初日はこのお2人が世界のさまざまなおもちゃを見せたり、実際にグループワークでそのおもちゃでの遊び方をみんなで考えてみたりしながら、おもちゃの楽しさを体感しつつ、全国のおもちゃ美術館の取組みを学ぶというプログラム。
 2日目は全国随一の萱(茅)の産地である御殿場で、茅葺きなど伝統的な技術の保存・継承に取り組む活動をされているリーダー・O先生のレクチャー&ワークショップ。
 また、ワークショップでは受講者さんが先生の指導のもと、ミニ茅の輪づくり体験などもあり、器用にさっさと作り上げる人、悪戦苦闘する人、色々でしたが、グループで助け合いながら、萱の輪を作り上げていました。
 そして、最後のお話は来年開館する木のおもちゃ美術館の概要やおもちゃ学芸員の活動の詳細についての案内。もちろんまだすべてが固まっているわけではないのですが、東京のおもちゃ美術館をはじめとする先輩の美術館関係者や木工アーティストさんなども交えて、色々なアイディアを考案中とのことで、聞いているだけでワクワクするようなお話でした。
 これで講座終了。学生たちにも修了証が授与され、「おもちゃ学芸員」に認定されました。

 今回の講座の参加者はだいたい40人。学生たちがダントツに若く、その次が子育て世代のお父さん・お母さん、でも3分の2くらいは50代以上、最高齢はなんと86歳!ほとんどは地元・御殿場の方だったようですが、神奈川とか伊豆あたりから来られていた人もいたようです。職業も大工さんを育てる先生とか中学校教員、保育士など教育関係者とかバラエティーに富んでいました。それで1人の欠席者も脱落者もなく、全員が「おもちゃ学芸員」に認定。市民のみなさんの熱い思いを窺い知ることができました。
 学生たちも当初は<木育>について知りたい、学びたいという思いで体験的に講座を受講したのですが、終わってみると、開館後実際に学芸員として活動してみたいと思い始めた人もいるようです。
 学芸員として、あるいは地元の大学の学生として、「富士山木のおもちゃ美術館」や御殿場市の「木育」の取組みに今後も注目していきたいと考えています。

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