村上 博紀

Murakami Hiroki

生命圏循環共生学コース

植物・藻類分子生理学

静岡大学教員DB

研究紹介

気候変動の主要因とされる温室効果ガスの排出量を削減するために、各国が対策を講じています。我が国は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しており、そのために各府省庁からエネルギー分野・食料分野・材料分野などにおける技術開発への支援のみならず、税制度・金融支援制度の設計や国際間技術連携の促進といったあらゆる側面における政策が策定されてきました。
植物や藻類は、光合成により大気中のCO2から様々な有機化合物を生成することができます。そのため、光合成生物が作り出した化合物を化石資源の代替として活用することで環境負荷の少ない社会形成が可能になると考えられます。安易な理想だけ言ってしまえば、我々人類が利用するエネルギー・資源のすべてを光合成に由来する物(化石資源を含まない)で賄うことができれば、カーボンニュートラルが実現できるわけです。近年、ゲノム情報の蓄積と遺伝子組換え・ゲノム編集ツールの開発によって、植物や藻類による有用物質生産に関する研究開発が国内外で推進され、様々な有用株の作出が報告されてきました。その一方で、実験室レベルで実証されてきた基盤技術を産業応用へと展開するためには、さらなる生産性の強化に加えて、形質転換株の安全な利用に係る評価・規制制度の設計が必要になります。
本研究室では、微細藻類を研究対象として生体内における代謝システムの解明を目指しています。特に、生理活性作用の高いオメガ3脂肪酸や液体燃料として利用可能な油脂といった産業的利用価値の高い有用脂質の代謝系に着目しています。これらの代謝システムに関する知見を基盤にして、代謝工学的なアプローチにより物質生産能を改変した株を創出し、脱炭素社会の構築に資することを目指します。また、遺伝子組換え生物やゲノム編集生物の社会実装に向けた取り組みに貢献していくことを目標としています。

受験生へのメッセージ

将来何に携わりたいか、自分に向いているものは何なのかを知るためには、本来広い視野と見識が必要だと思います。自分の専門とする分野を設定してそれを深めていくことももちろん重要なことですし、いつかは必要になることだと思いますが、それを一旦保留し、型や嗜好に囚われず、総合的に学んでいくことができる学部だと思います。

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