正木 祐史

Masaki Yushi

総合人間科学コース

少年法、刑事訴訟法、刑事政策

静岡大学教員DB

研究紹介

刑事法領域における学問分野

刑事法の中には、犯罪の成立要件などを探求する刑法学や、ある人が特定の犯罪を行ったかどうかを誤りなく適正に判断するための仕組みや制度を探る刑事訴訟法学といった法の解釈・適用を行う分野のほか、犯罪と刑罰その他の対応に関する経験科学的な認識とこれに対する合理的な対策の提言を目指す刑事政策学があります。また、少年法は、刑事政策学の一部として(あるいはこれに近接した)少年非行現象への対応と対策を考える分野です。

少年法・刑事訴訟法分野における取組み

少年法分野、刑事訴訟法分野の中では、手続的権利保障のあり方やそれに資する制度のあり方などを探求する理論研究をしてきています。例えば、少年法における“逆送”という手続の基準や位置づけの探求、刑事事件における被疑者取調べの可視化(録音・録画)などです。それらの研究の中で、弁護士など実務家や、心理学、児童福祉、教育など他分野の専門家と交流する機会をもってきました。

最近の主な研究――犯罪行為者の社会内処遇

最近、研究の中心に据えているのは、犯罪行為者の社会内処遇です。 刑事事件の処理をするプロセスにはいくつかのバリエーションがありますが、犯罪行為者が社会内処遇を受けて社会復帰を目指すということがあります。そこには“更生保護”という領域が関わってきますが、近年、社会復帰をよりよく果たすためには、福祉領域を中心とした他分野との連携が重要であると言われ、「司法と福祉の連携」が1つのトピックとなっています。処遇に関する実務家や、社会福祉の専門家などと協力しながら、よりよい社会復帰のための条件、そのために必要な制度設計や、望ましい連携のあり方などの理論的制度的な探求を行っています。

授業紹介

人間行動科学と刑事政策

研究紹介のところでも述べたとおり、刑事政策は、犯罪と刑罰その他の対応を対象とするもので、平たく言えば、犯罪の原因を探り、そのための対策を探求するものです。この授業では、例えば次のようなことについて、その中核部分を学習していきます。また、それらの基礎資料として利用される犯罪統計とはどのようなものか、といったことも学習します。

学修テーマの例――犯罪の原因となるのは、本人の素質か環境か。社会や制度のあり方、人々の態度が犯罪を生み出す要因になっていないだろうか。例えば貧困が犯罪の原因と言われることがある一方、貧しくても犯罪に走らない人がいることをどう考えればいいか。「社会政策は最良の刑事政策である」という言葉があるが、それはどういう意味か。死刑は殺人を抑止するか。犯罪行為者処遇に効果があると言えるか。もし効果があるとしたならば、どんなことでもしていいか。犯罪と刑罰をめぐる規範はどうなっているか、どのようにあるべきか。犯罪統計で何がわかるか・何が分からないか・見るときの留意事項は何か。etc…

受験生へのメッセージ

犯罪と刑罰、刑事政策のあり方は、社会のありようと密接な関係をもっています。隣接諸科学に目を向け、多様な領域との協働も必要です。また、逆に、みなさんが関心を持っていることが巡りめぐって刑事政策に繋がってくることもあるかもしれません。多様な繋がりを探りつつ共に学んでいきましょう

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