堂囿 俊彦

Dozono Toshihiko

総合人間科学コース

哲学・倫理学

静岡大学教員DB

研究紹介

医療や福祉の領域において、患者・利用者や医療・ケア従事者は、しばしば難しい問題に直面しています。「医療・ケア従事者が有効だと考える治療法に患者が同意しない」、「自分で判断できる力をもたない患者の治療方針に関して、医療・ケア従事者と家族・親族の意見が対立している」、「外国人との間で考え方の違いが大きく、治療方針に関して医療・ケア従事者と同意できない」…などです。「なにをするべきなのか」をめぐるこうした対立は、倫理的問題と呼ばれます。
倫理的問題を適切に解決する上で重視されてきたのが、対話です。医療の世界では、こうした対話の場として、倫理委員会や倫理コンサルテーションという仕組みが導入されてきました。しかし仕組みを作っただけでは不十分です。今の仕組みをよりよいものにするにはどうすればよいのか、どのような基準に依拠すればよいのか、どのようにして話し合いを進めれば、よい結果につながるのか、問題は山積しています。こうした倫理的問題を、他の領域の研究者・実務者や、地域の医療・ケア従事者と一緒に考えています。

医師・看護師・弁護士と一緒に執筆した書籍

地域の医療・ケア従事者と開催している倫理カフェ

授業紹介

応用倫理学概論

現代における多様な倫理的問題を知る・議論する

倫理的問題が生じているのは、医療・福祉の世界だけではありません。例えば環境問題。この問題に取り組む一つの大きな理由は、未来を生きる世代に対する責任です。しかしいま存在しない人たちに対する「責任」はあるのでしょうか?あるいは、今後AIが発展し、人間とスムーズにコミュニケーションをとれるようになったとき、そのAIを破壊することは、殺人になるのでしょうか。この講義では、さまざまな場面で生じているこうした倫理的問題をみなさんにお伝えするともに、皆さん自身にも考えてもらいます。既存のルールを学ぶことはとても大切です。しかし同時に、既存の枠組みを前提とすることなく、他者とともに主体的に考えることが求められています。

受験生へのメッセージ

哲学や倫理学は、既存の枠組みを疑う学問です。こんな学問をしていると、「暇人が考えなくてもよいことを考えている」と思われがちです。しかし、現代においてこれらの学問には一定の役割が期待されています。上で述べた医療の問題は、その一例です。
こうした問題を考えていくには、若い人たちの意見もとても大切です。私の研究室では、学生のみなさんと一緒に倫理的問題を検討し、さまざまな形で情報発信をする予定です。グローバル共創科学部において皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!

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