11月17日(月)、東京において、第二回移民とともに生きる体験のフィールド・ワークを行いました。その準備として、移民の権利、国籍と在留資格について事前学習をました。
午前中は霞が関の参議院議員会館で行われた市民団体と関係部局との省庁交渉・労働部門に参加しました。労働組合やNPO団体、そして移住者側の要求や質問に対して、関係省庁の職員が応答するという会で、2日にわたり技能実習・特定技能、労働、入管法・住基法・総合的対応策、難民・収容、子ども・若者、 移民女性、医療・福祉・社会保障及び貧困対策というテーマについて交渉があり、その中の能実習・特定技能と労働部門への限られた参加でした。限られた経験ではあったものの、参加した学生は「移民問題」の本質は「日本社会の問題」にあることを実感をもって理解した貴重な体験でした。
「インターネットでの事前学習では知ることのできなかった、特定技能や技能実習制度の現場で起きているリアルな問題を知ることができた。実習生を支援する移住連の立場と、法に基づいて対応する行政側の立場の両方を理解できた一方で、その間にある温度差や歯がゆさも強く感じた。特に、技能実習生に対するセクハラや暴行被害が多発しているにもかかわらず、緊急時に対応できる専用の相談窓口が存在しない現状は深刻であり、実習生の安全が十分に守られていないと感じた。また、ILO-190号条約や国際人権規約の社会権規約が長年批准されていないことにも疑問を持ち、これらの国際条約への批准が労働環境改善に不可欠なのではないかと考えたため、その背景にも関心を持った。」「省庁交渉ではどれだけ調べても実感することができない差別を受けている人や実際に被害を被っている人の悲痛の声を感じることができました。」「自国で結んだ労働契約と労使の間で結んだ契約が異なっているという問題が最も印象に残っています。技能実習生や特定技能生は自国で結んだ労働契約を信じて日本に来ているにも関わらず、労使のやり取りの間で変更があり、しかも労使の間の労働契約が外国人労働者に伝えられないという現状もあることが分かりました。」「省庁交渉を聞いていて、自身の知識不足かもしれませんが省庁の回答が質問の意図を組んでいないと感じてしまった場面もありました。特に質問に対し誰一人回答しなかった場面が一番驚きました。想定外の質問であったため仕方のない部分があることはわかりますが、答えられないことが考えていないということと同義であるかのように思いました。またある質問で「毎回聞いている」と司会の方がおっしゃっていたのを聞き、何度聞いても答えが返ってこないことが問題を軽視している(あるいはそれ以上の喫緊の課題を抱えている)現状を示しており、市民団体側では切実な課題であるのに改善されない状況はもどかしい気持ちであろうと感じました。」「省庁交渉を通じて、技能実習制度や外国人労働者を巡る問題の本質が、私の想像とは異なる部分にあることに気付かされました。特に、在留外国人の保険未加入問題が印象的でした。これまで私は「外国人が保険料を払わない」というニュースを聞いた際に、外国人が払わないという側面ばかりに注目しがちでした。しかし実際には、事業者が雇用保険や社会保険に加入させないケースがあることを知りました。日本人のナショナリズムや偏見もあり、労働者側ばかりが非難されがちですが、実は事業主側に重大な責任があるという事実は、私にとって大きな発見でした。また、契約書の内容を勝手に変更したり、「サインをしなければ働かせない」と強要したりする事例からは、雇う側と雇われる側の圧倒的な立場の不均衡と、日本の労働環境の悪さを痛感しました。」

昼ごはんは参議院議員会館の食堂でとり、地下鉄で次の体験の場へ移動しました。
午後は、イスラム教の東京ジャーミーを訪れ、内装の美しさ、祈りをささげる人との交流に、イメージや知識の「イスラム教」とは異なる、生活実践としてのイスラム教を知ることができたようです。
「私はモスクに初めて訪問させていただき、様式やマナーをあまり知らない状態でしたが、礼拝堂に入った瞬間から内部や礼拝者の厳粛な雰囲気に感動を覚えました。礼拝が終わってみると彼らはとても気さくで、明るい人々であり、とてもすがすがしい気持ちになりました。礼拝をする際にきれいな横一列となって行う姿がとても印象的で、そのような精神がイスラム教が世界宗教として多くの人々に信仰されているゆえんであると感じました。東京ジャーミーの方のお話にもあったように、人類が様々な不条理を乗り越えるために宗教を信仰しているという視点は、非常に理にかなっており、宗教のあり方について考えさせられました。実際に礼拝していた方々の声を聴かせていただき、宗教への想いや神という存在の考え方を知ることができ、彼らの人間性も感じることができました。今回の貴重な経験は私の宗教への考え方を変え、より深く知りたいと思うと同時に、多くの方々と関わりたいと思うようになりました。」「東京ジャーミーを見学し、実際にムスリムの方から直接話を聞いたことで、イスラム教やムスリムに対するイメージが大きく変わった。これまでは、イスラム教はとても厳格で、コーランの教えを徹底的に守りながら生活しているという印象があり、あまり気軽に話題にしてはいけないものだと感じていた。しかし実際に話してみると、とても明るく親しみやすく対応してくださり、イスラム教についても丁寧に教えてくれたことが印象的だった。また、頭髪を隠してモスクを訪れ、実際にイスラム教の文化を体験したことで、より強いリスペクトの気持ちを抱くようになった。お祈りの際に一列に並ぶのは「人は皆平等である」という意味があり、イスラム教では集団での行動を大切にしているという話を聞き、一つひとつの行動に深い意味があることを知って関心がさらに深まった。」「今回聞いたお話の中で、昔から人間の最大の恐怖である死について様々な考え方で対応していこうとしておりその考え方の違いが各宗教につながっているという話が印象深かったです。歴史の授業でも代表的な宗教についての話は聞きましたが、どれもストーリー感を強く感じており現実味をなかなか感じることができませんでした。しかし死に様々な視点からアプローチしているというお話を聞いて、人間の一番身近にある哲学が宗教であると思いました。また旅行中にもジャーミーに寄って礼拝することにも驚きました。それだけ宗教はその人にとって身近なものであることがよくわかりました。多文化共生が進みこういった宗教施設が各地にできることで、宗教的意識というある種のアイデンティティを損なわないまま旅行や生活ができるのだと分かり、多文化共生を進めていく先にはどこでも自分らしくいられるという社会の在り方が存在しているのかなと思いました。」
午前の省庁交渉、午後のイスラム教東京ジャーミー訪問は趣の異なる体験でしたが、いずれにしても知識や先入観を超えた、現実の移民の人々の生活や考え方を知ることで、次の学び「移民が生きる街と「ともに生きる」活動」をいかに自分たちで作っていくかを方向付けられたのでは思います。

