移民が生きる街の訪問と「ともに生きる」活動体験

移民が生きる街と「ともに生きる」活動(ワーク18)

 静岡市駿河区用宗漁港の近くにある静岡マスジド・イスラム文化センターにおいて、第1回「移民とともに生きる体験のフィールド・ワーク」(CWⅢ)を行いました。
 12時15分から行われる金曜礼拝に合わせて、12時にマスジドを訪れ、男性と女性で別の部屋で礼拝に参加しました。女性は礼拝に先駆けて、ヒジャブをお借りして、かぶらせてもらい、別の部屋からの礼拝参加、男性は大きな礼拝堂での参加をし、礼拝後に学生からの交流についての依頼、代表者との話し合いをしました。昨年東京ジャーミーを訪問しているので比較の視点を持ちつつ、また理解を深める機会になりました。礼拝所の前で話をしていると、デザートをふるまってくれたり、「おもてなし」の気持ちがうれしい訪問になりました。これから夏の交流会に向けて準備をしていきます。

学生の視点から(男女別に部屋が分かれていたために、それぞれの話を掲載)
【マスジドと礼拝について】
 モスクの講堂に男性が多い場合は、別の女性専用の部屋から礼拝をする。男性がそれほど多くないときは、講堂の中でついたてを立てて、男性との仕切りを設けて礼拝をすることができる。金曜日の礼拝は男性のみに推奨されていることもあって、女性の礼拝者は少ない。(女性は家の中で礼拝をすることも多い)。イスラム教の中では、家族以外の異性との関わりをできるだけ持たないようにしていることがわかった。地域や個人によっても、厳格さは異なるそうだが自分が想像していたよりも男女の関わりについて制限が多いと感じた。
 絨毯を敷く理由は、頭を床につけるため。絨毯でなくても上着など直接地面に肌が触れないようにすればなんでもよい。絨毯を敷くことに特別な宗教的理由がないことは驚いた。また、上着や布などその時持っているもので代用する人もいるというのは初めて知ったので興味深かった。
 礼拝は基本的に1日5回行う。(夜明け前、正午、午後、日没、夜)聖地メッカの方に向かって行う。礼拝が生活リズムに影響していて、礼拝の時間に合わせて寝る時間を変えたり、夜中に一度起きたりすることもあると知って驚いた。また、決まった時刻があるのではなく太陽の位置で礼拝の時間が変わるため、季節によって時間が異なることも興味深かった。以前国際寮に住んでいた時に、ムスリムのルームメイトが夜中まで起きていたり、逆に早朝に起きたりすることがあったため礼拝の時間に合わせて変わっていたんだと分かった。
【男性側からの知見】
 ムスリムの男性が、イスラム教の宗教観についていくつか話をしてくださった。まず、お祈りに関して、お祈りの際に隣の人と横一列に並び、肩をつける理由を教えてくださった。肩をつけることで、お祈りに集中することができるそうだ。イスラム教では、お祈りの途中に悪魔がお祈りの邪魔をすると考えられている。そのため、隣の人とくっつくことで悪魔の入る隙間をなくしているそうである。これによって、お祈りとは関係のないことを考えさせようとする悪魔の働きを防げるということだった。
 彼が話したことで特に強く印象に残った話は、「健康にいい」という点である。なぜかというと、経典に基づいて自分を律しようとすることで、結果として規則正しい生活を送ることができるからだ、と語っていた。非常にこの考え方は自分の発想になかった方向からの考え方でまさに目から鱗であった。またこれらのような、信仰を通じて、心身を整え、明確な善悪の判断を基に、より”善く”生きようとする姿勢は、我々も持っている日本人的な価値観にも重なる部分があるとも感じた。
 今回の体験を通じて、イスラム教を数ある宗教のうちの一つというような単純な見方ではなく、そこには人の生き方や心の在り方を示すものとして理解することができた。加えて、その考え方はイスラム教以外の宗教にも言える事であり、これからも「宗教」というものを見ていくにあたって、一元的な視点だけで捕らえようとせずに、様々な角度から観察・検討し、さらには実際の体験を通して、本質に近づいていきたいと強く感じた。
【女性側からの知見】
ヒジャブの着用について
 女性がヒジャブをつける理由は、女性の髪の毛は男性にとって魅力的であるので、誘惑してしまわないようにするためだそうだ。
 ヒジャブは家族かそうでないかによって着用するか否かが変わる。(家族のみの空間では外す、そうでない人がいる場合は必ずつける)女性の場合、女友達同士の場では脱いでもよい。しかし外部の男性が一度でも入るならつけている必要があったり、外に出る時に着けなおさなければならなかったりするため、結局面倒で外さないことが多い。

男女の付き合い、婚姻について
 異性との関わり方についても教えていただいた。家族以外の男性の前では肌は基本的に見せない、触れたりしない。男性が女性のことをジロジロとみるのはタブーだそうだ。
 イスラム教を信仰している人が結婚をする際、日本でいうお見合いによる結婚が多いそうです。私はこういった人間でこのような考え方を持っていて、理想の家族像はこうで〜と自分の考え方や価値観についていろいろ書いてある履歴書のようなものをお見合いの前に交換するとおっしゃっていました。それを見て実際に会ってみるか決めるようだ。

イスラム圏の女性の仕事について
 イスラム圏では医療関係など男女で分かれていることがあるため、女性の高度な技術者も必要とされる。そのため、日本と比べても女性の社会進出が進んでいる分野もある。

【感想】
 宗教信仰が想像以上に人それぞれであることに驚いた。自分のイメージの中では「経典絶対」でありそこから1mmも逸れてはいけない生活を送っているのではないかと思っていた。しかし、どこまで経典をしっかり覚えるかであったり、どこまで経典に沿った生活をするかであったりが個人や宗派によって変わると知り、生活や時代に合わせて柔軟に対応できるものだと理解することができた。また男性が女性に対するプライバシーから見ないようにしている話を聞き、女性の権利なるものを尊重している考え方であることを知った。それと同時にプライバシーへの配慮の考え方とヒジャブの必要性は相反するものではないのではないかと思った。
 発表のあとに何人もの人が日本語や英語で話しかけてくれて、「イベントがあったら行きたい」と言ってくれたのが印象的でした。ととっつきにくい印象もありましたが、実際に話してみるとすごくフレンドリーでした。

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