磁性ナノ粒子の磁界に対する応答をがん診断治療や生体組織など物質内部性状の非侵襲的解析に役立てる

私の研究テーマはこんな感じです
身体的負担の少ないがんの早期診断治療法として、磁気を帯びたナノ粒子(磁性ナノ粒子)に磁界を照射することで、熱や磁気信号を発する性質を利用した、温熱治療やイメージング技術に関する研究をしています。また磁性ナノ粒子の磁界に対する応答は粒子が存在する周囲の環境の性質に影響を受けるため、逆に磁性ナノ粒子の応答から周囲環境の性状を推定可能です。この性質を活用して、生体組織を始めとする物質内部の性状を非侵襲的に解析する新しい手法への展開可能性を考えています。例えば、腫瘍の悪性度が組織性状として表れることが分かれば、腫瘍に送達した磁性ナノ粒子の応答から腫瘍の悪性度診断も可能になると考えられます。
こんなこと知りたい、話し合いたい、教えてほしい!
磁性ナノ粒子の微細な応答を介した、物質性状のセンシング技術や、磁界の物質に対する透過性、磁性ナノ粒子の微細なサイズや磁界への応答性を活用した応用展開を模索しています。相性の良い応用先やニーズ、計測・解析法における協働の可能性を知りたいです。
これが私の得意技です! このことなら私に聞いて~
磁性ナノ粒子の微細応答の計測システム(計測装置やデータ解析技術)作りに力を入れています。磁性体の動的な磁気特性計測に加えて、微弱な信号計測、機械学習を活用したデータ解析技術などは磁性体の計測に限らず活用できる技術と考えています。
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ヒトや動物個体を対象としたときに,磁性ナノ粒子を特定の部位にのみ与える必要があるのですか?それとも,全身に与えておいて,局所的に解析できるのですか? 磁性ナノ粒子の安全性・代謝はいかがでしょうか?
ご質問をいただきましてありがとうございます。
体表に近い腫瘍の場合は、カテーテルなどで直接腫瘍に投与することも可能とは思います。身体深部では、磁性ナノ粒子にがん細胞に特異的に結合するような抗体などを付与することで、血中に投与した磁性ナノ粒子を腫瘍特異的に集積させるようなことが必要と考えております。
磁性ナノ粒子は、酸化鉄を材料としており、過剰な投与をしなければ、身体にとって安全な材料になります(同様の材料で認可され、商品化されているものもあります)。また、磁性ナノ粒子は時間経過とともに体外に排出されてしまうため、診断・治療においては如何に体内(特に目的部位)に留めるかが重要になります。逆に言えば、時間が経てば、体外に排出される仕組みにはなっております。
身体に負担の少ない技術が生まれたら嬉しく思いました。
非接触でのデータ取得ができそうで、多数のデータ取りで解析を進められる可能性を感じました。
コメントをいただきましてありがとうございます。
仰っていただきました通り、非接触に時空間的な腫瘍の性状に関するデータをリアルタイムで取得することを目指しております。
本研究は、臨床の現場で用いられるような技術に発展できればと考えておりますが、動物実験などにおける、非侵襲的な組織の病態解析ツールとして活用できればとも考えております。
おもしろそうな研究なのでがんばって下さい。
治療と診断を同時に行うことができる仕組みが難しくてよく理解できませんでした。もう少し詳しく教えてください。
ご質問をいただきましてありがとうございます。
磁性ナノ粒子に磁界を加えることで特異な磁気信号を生じるため、その信号を体外のセンサで検知することで、磁性ナノ粒子の体内での位置を推定できます。磁性ナノ粒子に、がん細胞へ特異的に結合する抗体などを付けておき、血中に投与した磁性ナノ粒子を腫瘍部位に集積することができれば、”磁性ナノ粒子の位置=腫瘍の位置”と判別できるため、腫瘍のありなしの判別や、その位置検出が行えます。
加えて、磁性ナノ粒子は磁界(交流磁界)を照射すると発熱する性質がありますため、これら2つの性質から、腫瘍の位置検出を行い、そこに集積した磁性ナノ粒子を発熱させることで、診断と治療をリアルタイムで実施可能になります。
また本研究では、さらに新しい計測技術を導入することで、腫瘍の病理的な情報も腫瘍に集積させた磁性ナノ粒子の磁界に対する応答から判別することを目指しております。
すごく興味深い。ナノ粒子を使った研究してほしい。
今後の研究に期待
治療と診断が同時に出来るようになれば、がん治療の制度が良くなりそう。