「観光」は、私たちに何をもたらすのか?

私の研究テーマはこんな感じです
オーストラリアの先住民の社会文化の動態についての調査研究を行っています。18世紀の後半以降、外部社会との接触により、彼らの社会文化は劇的な変化を経験してきました。近年は交通や通信技術が発達し、先住民社会でも人・モノ・情報などの移動がますます活発化しています。そのなかで、私がいま関心を寄せるのが「観光」です。2000年代以降、国内外から多くの観光客が先住民の村を訪れ、彼らの文化は「観光商品」として売買されています。観光が先住民の社会や文化、暮らしに与える影響を調査研究しながら、現代における観光の意味について考えています。
こんなこと知りたい、話し合いたい、教えてほしい!
日本のみならず、世界の様々な国や地域の観光の現状について知りたいです。また、観光が地域の社会や文化、人々の暮らしにどのような影響を及ぼしているのか知りたいです。
私、こんなことできます。このことなら私に聞いて~
現場主義をモットーにして、フィールドワークをベースとする調査研究を行っています。オーストラリアでは、先住民の人々と寝食をともにしながら、通算で1年2ヶ月以上にわたって調査研究を行ってきました。
“「観光」は、私たちに何をもたらすのか?” に対して4件のコメントがあります。
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「生態系サービス」という言葉を学び,その中には「観光」も私達が自然・生態系から恩恵を受けるものの一つとされていました。なるほど,と思いました。「観光」をするのなら,やはりその現地の社会や文化の最低限のところを学ぶ必要がありますし,逆に現地の人達にも過剰な「サービス」によって社会や文化を変えないようにしてほしいですね。「観光業」に携わる人たちはそうした現地のことを「教育」することことを行うのも大事なのかと思います。
コメントをいただきまして、ありがとうございます。
「生態系サービス」という言葉は、初めて耳にしました。とても興味深い言葉・概念です。「生態系サービス」について勉強し、知見を深めようと思います。貴重な情報ありがとうございます。
“「観光」をするなら、現地の社会や文化の最低限のことを学ぶ必要があるだけでなく、現地の人たちにも過剰な「サービス」によって社会や文化を変えないようにして欲しい“とのこと。まさにその通りだと思います。こうした姿勢が、近年話題となっている「オーバーツーリズム」の問題解決に向けた取り組みのヒントにもなると思います。
先住民の工芸品、無形文化財、暮らしそのものが「観光商品」として売買され、先住民のイメージを作り上げ固定化していくような、オリエンタリズム的な側面は、どの国の観光でも見られることかもしれませんね。観光客と観光地の人々の経済的関係性によって表象の権力が働くことをどうすれば是正できるでしょうか。もしくは、そのこと自体、是正すべき事象でもないのでしょうか。
コメントをいただきまして、ありがとうございます。
ご指摘いただいたように、観光という現象それ自体が、オリエンタリズム的なまなざしを基盤にして成り立つ側面があるということは否定できないことだと思います。実際、観光の現場では、表象の権力に絡めとられ、オリエンタリズム的なイメージやまなざしのもとで、観光実践を繰り広げることを強いられている状況があります。他方で、逆に、オリエンタリズム的なイメージやまなざしを戦略的、戦術的に利用して、したたかに観光実践を繰り広げているような事例もあります。さまざまな国や地域で取り組まれる観光実践の個別具体的な事例を積み重ねながら、「観光」という現象について考えてゆきたいと思います